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村上春樹さんと神戸

惜しくも今年もノーベル賞から外れましたが、いつか受賞できたらと
願っています。
文章は平易なのに内容が謎に満ちている村上作品ですが、村上さんは
京都で生まれ、2歳で神戸に引っ越してきて高校3年生まで神戸で
過ごされました。

1997-2009のインタビュー集「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」
の中でこのように書いています。

2004年、聞き手は「ジョン・レイ」のインタビューで。
「海辺のカフカ」について
主人公は15歳の少年です。
村上さんはこの少年について書いていた時、15歳の自分がどんなだったかを
ありありと思い出せるとおっしゃっています。
村上さんの記憶は大きなチェストのたくさんの引き出しにしまってあって
その中の一つに自分が少年として神戸にいたとき目にした光景が
眼前にそのまま浮かび上がってくるというのです。

お~そうだったのですか。
そんなことを想像もせず、読み進んでしまいました。(汗)

ジョン・レイ 
「神戸で育ったというのは、あなたが自分のスタイルを培養していく上で
どれくらい重要なことなのでしょう?
日本の他の都市ではなく、神戸だったということが。
神戸は国際的で、少しばかりエキセントリックだという評判がありますが。」

村上
「まさか、神戸の人間より、京都の人間の方がよほどエキセントリックですよ!
京都は山に囲まれた街だから、考え方や感じ方が僕らとはずいぶん違います。」

ジョン・レイ
「でもあなたが生まれたのは京都ですよね?」

村上
「でも2歳のときに神戸に越してきました。
だから僕の故郷は神戸ということになると思います。
神戸は山と海とにはさまれた細長い土地です。
東京都という土地はどうも好きになれないな。
地形的にあまりに広くて、平らで、とりとめがないから。
ここにいても何か落ち着かないんです。」

ジョン・レイ
「でもあなたはここに住んでいるじゃないですか!
あなたはその気になればどこにでも住めると思うのですが。」

村上
「僕がここにいるのは、ここにいれば匿名性が獲得できるからです。
ニューヨークも同じです。誰も僕に気がつかない。
どこにでも自由に行ける。」

村上さんが高校までを過ごした神戸で、外国船員が古本屋に売った
安いペーバーパックスを好んで買って読まれたそうです。
そこで英語に親しみ、後に翻訳の仕事もされるようになった素地も
できたのかも。

まぁ、しかしどんな環境にいてもしないものはしないのですけど。(^^;

それにしても村上さんにとっては神戸はその才能を育んだ素晴らしい土地、
環境であったに違いない!と、うれしくなったのでした。(*^_^*)
by kobeport | 2010-12-12 23:08 | 神戸 | Comments(0)