人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コードネームは「真珠の首飾り」 その3

憲法問題調査会案(松本案)を否定された日本側は、まさかGHQ側で
憲法草案を用意しているとは考えもせず草案を練り直し、訂正松本案の英語訳と
説明書を用意して2月13日を迎える。
日本側は訂正松本案をもとに日米双方で検討を加えて再度練り直しをする
つもりで、GHQ側は用意した憲法の草案をハーグ条約と反することのないよう
日本側から自発的に従わせるよう仕向ける算段を胸に。

劇的な展開となる外務大臣官邸での会議が始まりました。
松本が松本案について話を始めようとしたとき、ホィットニーはそれをさえぎり
GHQ側に草案の用意があることを伝えた。
日本側は驚愕のあまり声もでない。
この場にいた日本側は、吉田、松本、白洲。
英文のマッカーサー草案に目を通すのだけれど驚きで頭に入らない。
日本側は天皇をシンボルにという言葉に初めてそこで出会った。
驚いたのは天皇制をシンボルという他に、土地そのたの天然資源は国有とする
ということ、一院制とするということなどで、共産主義的な匂いがするもので
この条項は後に日本側で「レッド条項」と呼ばれるものになった。

マッカーサー案を持ち帰った日本側はすぐ幣原首相に報告。
政府は大混乱となった。

2月13日、会議のあった日の午後、白洲は「ジープウェイ・レター」を書く。
これは大森実が1975年に発刊した「戦後秘史」の中で紹介してあきらかになったもの。
白洲は「マッカーサー案も松本案も民主的憲法の必要を切望しているという
意味では同じだ」ということを手紙に書いてホイットニーに渡す。
マッカーサー案は日本の事情をあまり知らないエアウェイ(空路)、しかし松本案は
日本のせまくてまがりくねった道をなんとかジープで走って行こうという道であって、
最終的には同じことだと図入りの手紙で説明したが、GHQからまったくの
時間稼ぎだと拒否される。

2月18日。松本も再説明書を作成し提出したが、まったく相手にされず戻される。

48時間以内にマッカーサー草案を受け入れるかどうかを求められたので
これまで秘密裏にすすめられていた憲法改定草案をめぐる動きを閣議に
かけた(2月19日)が結局結論が出ず、再度時間稼ぎを白洲に託す。

白洲は48時間では無理だから期限の20日を22日の夕方まで延期してくれるよう
ホィットニーに頼む。
この延期の願は意外とすんなり受け入れられた。
期限は22日。
幣原首相は基本原則以外は若干の修正を加えてよいというマッカーサーの
言葉をもらったので、22日の閣議にかけた結果なるべく日本側の意見を入れて
もらうとうことで、このマッカーサー草案を受け入れることになった。

22日午後2時、吉田、松本、白洲は民政局へ向かった。
しかし、マッカーサーの言葉とは違ってホイットニーは変更の許されない基本的な
部分とはすべてであるとしてマッカーサー草案をすべて日本側に飲み込まそうとした。
by kobeport | 2009-06-10 21:37 | 取材日記 | Comments(0)