2009年 02月 02日
神戸百景の随想 NO.60 異人屋敷
60 異人屋敷
神戸の山手のあちこちには明治期の西欧勢力の
あとが残っている。
汐の引いた砂浜に点在する貝殻のようなていたらくである。
れっきとした西洋建築師の設計とうかがわれるものもあるが
中には施主が素人のすさびに
日本人の大工左官を督励して成ったと見えるものもある。
この図もそれに近いものの一つ。
在り場所は諏訪山の稲荷参道の西側の斜面。
二階の軒飾りの狐がそれを証して余りある。
「ダンナサン ココ キツネイレルネ」とでも左官が問うと
赤髭青眼のダンナが「ソレ オモシロイ
イナリサンヨロコブ」というようなやりとりがあって
出来上がったにちがいない。
何にしても 明治初期中期の西洋と日本との奇妙な混交が
生み出した稚拙のユーモア。
それから思うと 今日の日本の世界に占める位置はぐんと大きく
どっしりと重い。
けなげな先人の根付を彫る精神が育ったのだ。
詩人 竹中 郁
諏訪山の異人館は北野のそれとは違ってなんとなく
東洋的にみえます。
諏訪山神社の近くにあるからか、独特の雰囲気をもっている
気がします。
今でもいくつかの異人館風の家が残っていますね。