神戸百景の随想 NO.51 元町駅

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51 元町駅

このあたりは僕の書生時代には三宮駅のあった処で わびしい憶い出の場所だ。
古びた駅の建物の南側には古本屋が多く そこからだらだら坂をななめに南に降りると 
元町の三丁目に出る。
その頃の学生は(僕だけだったかも知れないが)レジャーを楽しむ手段に貧弱だったので 
唯一の楽しみはせめて「金時」か「しるこ」をたべに行くくらいのたあいもないものだった。
手もとが不如意のまま そんな時には将校マントにかくした参考書を この三宮駅前の
古本屋を持ち歩いて金に替え それから元町裏のたしか「二葉」というしるこやで
甘味をむさぼったものだ。
このコースを繰り返したことが忘れられない憶い出となって 今でも元町界隈に郷愁を覚える。
若い頃の憶い出にたべ物が一番印象的なのは自分のくいしん棒のせいだろうか。

神戸新聞社長  田中 寛次


昔の三宮駅前(今の元町駅前)は古本屋が並んでいたそうです。
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by kobeport | 2009-01-12 22:43 | 神戸 | Comments(0)