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神戸百景の随想 NO.9  教育植物園

神戸百景の随想 NO.9  教育植物園

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9 教育植物園
神戸の街は 相迫る山と海との間にあって 南へ向かって
傾斜しているから 雨が降ると淙々と音をたてて流れ去る。
その新緑嫩葉のころの雨後のすがすがしさを ことに私は愛する。
しかし 天平の歌人に”清き白浜”と賛えられた敏馬浦のあたりも
 今は工場地帯となって 赤い煙が
低くたれこめる日は 息がつまりそうだ。
そんな時でも足を一歩 山手の方へ運べば 空気の味すら
はやくも 変わってくるのを感ずる。
いわんや 修法ケ原まで入り込めば たちまち嵐気につつまれて 
心まで青く染まってしもう。
その奥に教育植物園がある。
そこにはわが国の山野に自生し また植栽された木本・草本の類が 
渡来植物と共に 秩序づけられて並び
日夜 語問い交わしている。
試みに 万葉植物のグループに近よってみれば 
それがみな何らかの意味における有用植物で 単に花の美しさ
だけを賞美されたのでないことを思う時 私は時の経つのを忘れて
 そこに立ち尽くすのである。

神戸外大教授 阪口 保


今も再度山に行くとこんな気分になります。
こんなに都会に近いのに、すがすがしい緑に包まれる。
静かな別世界。
教育植物園は洞川教育キャンプ場の中に入ってしまって
いるのだと思います。
by kobeport | 2008-11-30 11:34 | 神戸 | Comments(0)