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「ドンク」と「三菱重工神戸造船所」にまつわる話

神戸の老舗ドンクは今年で創業106年。
ドンクのルーツは藤井パンというお店でした。

ドンク創業100年に出版された「美味しいパン 100の誕生物語」によりますと、
藤井パンと三菱神戸造船所の開設は同じ1905年(明治38年)8月8日です。

それまで印刷業を手掛けていた藤井元治郎は仕事の関係で三菱長崎造船所にも
出入りしていて造船所の外人技師がよくパンを食べること、
そして東京の銀座の木村屋のあんぱん、中村屋のクリームパンの
評判がいいことなどを知っていたようです。

そこで神戸でも神戸造船所が開設されるという噂を聞いて、
神戸にもたくさん外人技師が来るに違いない、あちこちで食べた
おいしいパンを神戸でも作ろうと思い立ちました。

最初のお店は三菱造船所から数キロほど北の兵庫区柳原御旅筋商店街。
焼きあがったパンは箱に入れ、造船所内のドックに運び込んで販売するものでした。
価格はけっこう高かったのですが、外人技師の間では評判をとりました。

神戸でのパン食がすすんだのは、意外なことに第一次世界大戦が終わるころの米騒動が
きっかけとか。
米がないならパンを出せと当時の陸軍省からの知らせで、まだパンにはなじみがなかった
庶民にも一気にひろまりました。

大正8年、藤井パンの創業者藤井元治郎が44歳で亡くなり、末弟の藤井全蔵が
跡を継ぎました。
(この藤井全蔵の子息が法人「ドンク」を作り上げた藤井幸男です。)

藤井全蔵は1923年(大正12年)兵庫区の湊川トンネル西口の角に工房と店、
ミルクホール(カフェ)を併設した店をオープンしました。

湊川トンネル西口の角といえば、道路を挟んで2か所あることになりますが、
北側は人工衛星饅頭のお店があるところですね。
(北側か南側かは本には書いてありません。)

面白いと思ったのは創業者がパンのお店を作ろうと思ったきっかけの一つが
三菱重工神戸造船所であったということ。

来年6月に商船の造船を終える神戸造船所ですので、
その歴史を考えると感慨深いです。
Commented by 雫石鉄也 at 2011-10-15 16:18 x
そのドンクに技術指導に来ていたのが、ビゴさんなんですね。そのビゴさんも芦屋に店を出しましたので、ビゴはドンクから見ると分家すじですが、ビゴはドンクの師匠すじなんですね。
来年6月から、和田岬周辺も変わるでしょうね。
Commented by kobeport at 2011-10-15 21:39
そうなんですね。本を読むとドンクは驚くほど多くの外人の
パン職人を招き、教えを請うのを繰り返していますね。
そしてたくさんの社員をパリやイタリアなどに修行に
出していますね。

来年6月で寂しくなりますね。
和田岬線も廃止になるのですね。(^^;
もう一度乗ってみようと思います。
by kobeport | 2011-10-14 22:15 | 取材日記 | Comments(2)