人気ブログランキング | 話題のタグを見る

幻の薩摩切子 神戸市立博物館

なぜの薩摩切子 
薩摩切子は幕末の薩摩藩でほんのわずかの期間に制作されたものだからです。
幻の薩摩切子 神戸市立博物館_b0051598_2322683.jpg



幻の薩摩切子 神戸市立博物館_b0051598_2325522.jpg


幕末の薩摩藩の殖産興業の政策の元、英国やボヘミアンカット
ガラスを参考に19世紀の中頃に制作が始まりました。
普通西洋のカットガラスはグラインダーを使いますが、
薩摩の職人はこの西洋のカットガラスをお手本に手作業で
仕事をすすめていったそうです。

グラインダーなら3日ほどでできあがるところをおそらく1か月以上
かかったのではないかといわれています。

手間がかかるかわりにグラインダーでは出せないぼかしも表現
できています。
カットガラスは無色のガラスの表層に色ガラスをコーティング
したあと文様を削り制作するものですが、グラインダーでは
出せない角度の浅い切り口により多様な色合い、にじみのような
ぼかしといったものまで表現できています。

多いのはインディゴブルーといった藍色なのですが、中には
エメラルド色のように緑がかかったようなブルーもあり
本当にため息がでるような美しさです。

中でも「藍色被船形鉢」と名前がつけられている蜂は形と
いい色といい思わずながく見とれてしまいました。

薩摩藩のガラス工場は1863年の薩英戦争で破壊され、
薩摩切子の制作は衰退してしまいます。
薩摩切子が制作されたのは実質的に十数年。

まさに一瞬のきらめきで歴史の上にその名をとどめました。
作られた当時でさえ数が少なく、今に伝わるものは
ほんのわずか。
幕末の世相が揺れ動く中でこの美しい切子が生み出され
ました。

8月31日まで。
神戸市立博物館
by kobeport | 2009-07-01 23:18 | 神戸 | Comments(0)